リチャードココ アコギ弦 レビュー
イタリアのハンドメイド弦ブランド、Richard Coccoの弦です。
多くの弦ブランドは巻き弦を機械で巻いていますが、ここは今でも職人が手巻きをしている珍しいブランドです。
自分の愛用ギターFurch SGCT23Gに、現状一番相性がいいようなのでレビューしていきます。
ゲージは
12.16.24.32.42.52
と6弦が通常より細くなっています。
このセットはソロギター等メロディラインを重視するプレイヤーに好まれます。
しかし低音が不足しているわけではなく、バランスは良好な方ですね。
テンション感は柔らかく、チョーキングがとてもしやすいです。
長時間弾いても腕が疲れることがないので、常にギターを足の上に乗せておきたい自分にとっては非常に嬉しいポイントでもあります。
パッケージは一つ一つ真空パックに入っています。
少し長く放置していても錆びにくいので、非常に好感触。
弦を張ってからの劣化は緩やかなカーブを描くように落ちていくので、あるポイントでガクッとダメになるような事はありません。
これはライブでは大きなメリットで、弾き始めと終わりでのキャラクター差が最小限で済みます。
ちなみに毎日弾くと、約一週間で完全にデッドな音になります。
一見普通のノンコーティング弦とほぼ同じ寿命ですが、張りたての音はかなり維持してくれます。(維持してくれている様に感じる)
通常ノンコーティング弦は、数十分〜1,2時間程度で曇り始めます。
汗などが付着し表面が錆びたり、金属疲労で弦が伸びたりして高音域が減衰するのですね。
ほとんどの弦はこの段階で音質がガクッと落ちます。
しかしこの点においてリチャードココはとても優れています。
劣化スピードのカーブがとても緩やかなので、耳で感じ取れるほどの落差にならないのですね。
多くのノンコーディング弦は弾いてる最中に劣化を感じることがありますが、このブランドにはそれがほとんどありません。
弦の色は80/20ブロンズ弦のように黄色味がかっています。
公式では何の素材を使われているかは明記されていませんが、音のキャラクター的には見た目通り80/20ブロンズに近いです。
ボールエンドの処理が非常に丁寧です。
ここは手巻きならではの職人魂を感じます。
巻線のエンド部がはみ出ている弦をよく見ますが、リチャードココにはそれが全くありません。
ここの処理が綺麗だとブリッジへの収まりが良いのでとても気持ちいいです。
またこの部分は弦の振動をボディに伝える大事な部分なので、ここが綺麗なブランドにはとても好感を覚えます。
- サウンド
粘り気のある落ち着いたサウンド。
ウォームな音で、音のまとまりが非常にいいです。
逆に言えば各弦の分離感は少し薄め。
レンジが広いわけではなく、中音域に旨味が集中しています。
こうしてみると特性的に大きく優れているわけではないですが、この弦の凄いところはその色気。
特にプレーン弦の粘り気は非常に気持ちがよく、人の声の様な艶かしさもあるので歌うようなフレーズが弾きやすいです。
また6弦が52と通常より細くなっていますが、低音はきちんと出ます。
しかし太い弦のようなソリッドなガツンとした低音ではなく、ボワっと広がる温かみのある音ですね。
弦のキャラクターとしても全体的にソリッドな音ではなく、プレーン弦は粘り気があり、低音弦はふくよかな音です。
迫力があるわけではありませんが、アダルトな音を出したい人にはオススメします。
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