ハーモニクスでチューニングしてはダメ?って話
チューニングをする際、ハーモニクスで音を合わせている人がたまにいますね。
5フレットと7フレットのハーモニクスでチューニングをするあれです。
ギターは色んなチューニングの方法がありますが、果たしてこれはどうなの?ってのが今回のテーマです。
さて、早速問題のチューニング法を見てみましょう。(1分30秒~)
こんなやつですね。
結論から言うと、このチューニングは正しい方法ではありません。
一見理にかなっているように見えますが、厳密には音がズレてしまうのです。
というのも、7フレット上のハーモニクス音はすこーしだけシャープしているんですね。
仮に6弦から合わせて行った場合、5弦はシャープしてるように聞こえるので下げる→実はフラットしている5弦を基準に4弦を合わせる→4弦がさらにフラットする、、、という悪循環が生まれます。
6弦すべてをハーモニクスで合わせてしまうと最終的な誤差はかなり大きくなってしまいますね。
結果的になんだか気持ち悪い響きになって、いつまでもチューニングが決まらないなんてことになってしまいます。
ということで、基本的にはチューナーを使って調律するのが正解ということになりそう。
- なんでそんなことになるの?
以下ちょっとだけ理論的な話ですが、暇な方はお付き合いください。
7フレット上のハーモニクスがシャープしているということですが、これは純正律と平均律が関係しています。(純正律と平均律の違いは別記事にて紹介します。)
というのも、ハーモニクスポイントというのは純正律の上にあるんですね。
例えば、1弦7フレットを普通に押さえれば平均律のBが鳴りますが、1弦7フレットのハーモニクスは純正律のBということになります。
この場合は基準がEで、鳴らしてる音がB、つまり完全5度ですね。
純正律でのルートと完全5度の比率は1:1.5ですが、平均律だと1:1.49831と僅かにずれています。
これがどれだけのズレかと言うと、大体0.5~0.6hzくらいになります。(1弦7フレットの場合)
実は7フレットの本当のハーモニクスポイントは、少しだけ8フレット寄りの所にあるんですね。
ギターは平均律を基準にフレット打ちされているので、ハーモニクス(純正律)で調律すると、いざ演奏が始まった時なんか気持ち悪い、なんてことが起きてしまいます。
ちなみに5フレットと12フレットのハーモニクスは開放弦とオクターブの関係なので、音程のズレはありません。
チューニングに使うとしたら、この2つのポイントだけにした方が無難かと思います。
それでは。