メジャーコードはなぜ明るいの?って話

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面白い論文を見つけたので紹介します。

 

A Psychophysical Explanation for Why Major Chords are “Bright” and Minor Chords are “Dark”

 

何故メジャーは明るくてマイナーは暗いのかってのを精神物理学者が説明していて、非常に興味深い内容になっています。

 

原文は英語なので、簡単にまとめてみました。

 

明るい、暗いって人それぞれ?

 

まず実験では

  • 楽経験の有無
  • 大人と子供
  • 国籍や文化

は関係あるのかって所を調べています。

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結果はご覧の通り。

楽経験の有無、国籍に関わらずメジャーは明るい、マイナーは暗いと評価しております。

 

さらに大人から4-5歳の子供まで評価は一貫していた模様。

つまり私たちは潜在的にメジャーは明るい、マイナーは暗いと感じるわけですね。

 

何故明るい、暗いがあるの?

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どうやら言葉や動物の鳴き声に深い関係があるようです。

基本的に動物が強さを表現する時は音程が下がり、弱さを表現する時は上がるようです。

※音量や元々のトーンではなく、語尾に向かってのピッチの上下

 

つまり強さを示す時は⤵︎、弱さを示す時は ⤴︎ といったイントネーションになるってことですね。

 

これがコードと何の関係があるのか、

ってことで次はディミニッシュとオーギュメントに注目しています。

というのもこの2つはインターバルが等しく重なっていて、さらにメジャー・マイナーどちらにも解決できるんですね。

 

簡単に言うと「話始め→話終わり」を、ハーモニーの「不安定→安定」に置き換えたわけです。

 

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結果はこんな感じ。

 

オーギュメントのどこかひとつの音を下げるとメジャーに、上げるとマイナーになりました。

つまり生き物の感情表現のパターンと見事に一致したわけです。

 

研究者はこれがメジャーは明るく、マイナーは暗く感じる理由では?と言っているわけですね。

 

 

音楽理論的には?

ここからは論文外の内容ですが、1つ説を紹介しておきます。

 

理論的には3度の音がメジャー・マイナーを決めると言われております。

  • Cメジャー =CEG
  • Cマイナー=CE♭G

といった具合ですね。

 

じゃあ何故これが明るく、もしくは暗く感じるのか?

 

これはC(ルート)とG(完全五度)の音の間隔が関係しています。

周波数的に、このふたつのちょうど真ん中の音はEとE♭の間なんですね。

そしてこの境界線から1つ高い音なら明るく、低い音なら暗くなる、といった感じ。

 

※ご指摘がありましたので、ちょっと加筆。

 

しかしこれは平均律でのネガティブハーモニーを元にした考え方で、純正律だとCとGの間の音はちょうどEなんですな。

純正律の時代からメジャー・マイナーの概念はあったはずなのでどうなんだろう?と言った感じ。

ちなみに純正律での周波数比率は

メジャー = 4:5:6

マイナー = 10:12:15

単純に比率が綺麗な方が明るく聴こえる?と思ったのですが、そしたらリディアンがイオニアンより明るい理由と矛盾するしねぇ、、、

 

もし知っている方がいれば、教えて下さい<(_ _)>

 

 

 

とにかく音楽理論的には説明が難しいものを、別の視点から見てみたってのは面白いんではないでしょうか?

 

確かに国籍や文化に関わらず、自信満々にスピーチする人は語尾に向かって音程が下がるし、質問する時なんかは上がりますもんね。

 

これがヒンドゥー教やアフリカの文化圏等、12音階を使わない人達が聴いたらどうなるのかってのは分かっていませんが、少なくとも我々はコードの性格を感じる能力が潜在的にあるってことでしょう。

 

さらに詳しく知りたい人は原文を読んでくださいませ。

 

それでは。

 

 

 

Reference

Norman D. Cook - A Psychophysical Explanation for Why Major Chords are “Bright” and Minor Chords are “Dark”